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─見返り─

あの変態仮面野郎が部屋を出て行ってから、数時間が経った。俺は相変わらず監禁状態の中で途方に暮れた。  静かな部屋の中で一人きりしかいない状態は、精神的にも堪える。ベッドの上で両膝を抱えて、ジッとあることを考えていた。 このままの状態を少しでも変える為には自分自身を奮い起たせる必要があった。でも、俺にそんな『こと』が出来るのだろうか? ましてやそんなことでもしたら、あいつの思う壺じゃないか? 自分自身に自問自答を繰り返しながら、少しづつ度胸をつけた。次のとき、あいつが来たらやってみようと思った。  多分、あいつは俺が少しでも言うことを聞けば上機嫌になるに違いない。その時にあいつに見返りを求めようと決めた。両膝を抱えるのをやめるとベッドから立ち上がって木の板で塞がれた方に移動した。相変わらず、足枷が邪魔だったけど。もうそんなことは気にならなくなった。 どんなに外そうとしても、なかなか外れない鉄の足枷は精神的にも堪えてくるものだ。重たい左足を引き摺りながら、木の板で塞がれた窓辺に歩み寄って、どこかに小さな穴か隙間がないかをくまなく探した。  

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