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―現在―(悠真side)

――やっとの思いでラジオを手に入れた俺は、毎日流れてくるニュースや色々な情報に聞き入った。ラジオがある生活があるだけ、いくらかマシな方だった。  正直言って今の生活が快適とまではいかないが無音の部屋にいるよりかは、音のある生活の方が人間らしさを感じた。だが、いくらラジオを聞き入っても未だに俺のニュースは全然、流れて来なかった。 「何でだよ、おかしいな……! 誰も俺のことを探してないのかよ!?」  両手にラジオを持って他の局も手当たり次第に回してみた。だが、どこにも俺のニュースは一つも無かった。 その絶望的な状況はまさに俺の『存在』を世間は忘れている事と同じだった。せめて友人や、大学仲間や身内が俺の存在を忘れてない事を祈るしか無かった。 「ああ、クソッ! 絶望的過ぎる…――! なんで俺がこんな目に……! いい加減いつになったら、自分の家に帰れるんだよ!?」  ベッドの上で仰向けになって、虚しい気持ちで天井を見上げた。 「……ホントに誰も俺のことを探してないのか?」 虚しい気持ちで呟くと余計に虚しくなってきた。不安な気持ちが拭いきれない絶望感が漂う中で、ボンヤリとしたまま寝転んでラジオを聴いてると、いきなりアイツが部屋に入ってきた。  

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