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―現在―(そして…)

広瀬を椅子の上に縛って放置したまま、彼は机の前で顕微鏡を覗いて淡々と仕事をした。部屋には静かなクラシックの曲がループしていた。電流を流されたまま、苦しそうに喘いでる彼に見向きもせずに男は他の事を考えていた。 ――ああ、これがあの子だったら面白いのにな。 経過観察の記録を取りながら、不意いに別の事を思った。  私の可愛い小鳥は今頃、檻の中で何をしているだろうか。一人でぼっちで今頃、寂しくしてないだろうか?  ああ、私の可愛い悠真。 彼の心は此処には無かった。ただボンヤリとしたまま遠くを見ていた。そして、不意に我に返ると座っていた椅子から立ち上がって、広瀬の様子を見に行った。 「――おや、壊れちゃったのかな。大丈夫、広瀬君?」 そこで彼の名前を呼ぶと、ふと小さく笑って目の前にある芸術品を、両腕を組んでジッと眺めた。体に電流を長し続けられた広瀬は口からヨダレを垂らしたまま口をポッカリと大きく開けていた。そして、顔に巻いたネクタイがズレて床に落ちていた。彼の目は白目のまま何処か宙を見ていた。 繰り返される絶頂の快感に何度もイキ果てた姿はもはや感情さえも失った人形のようだった。胸とアソコに、電流が流れたまま全身をビクビクさせると広瀬の耳には彼の言葉は聞こえてなかった。そんな彼の変わり果てた姿を見ても、全く気にもしなかった。 「――困ったねぇ。人がちょっと目を離した隙に、イキまくったなんて。とんだ淫乱で悪い子だよ、キミは。一人遊びは十分満足したかい?」  男はクスッと笑うと、近くの机に置いた黒色のアタッシュケースからある物を取り出した。それは尖った銀色のスティックだった。   

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