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―現在―(そして…)

――しとしとと窓辺に雨音が打つ中で、研究室には月の光の柔らかなメロディーが流れていた。 さっきまで教授のオモチャにされていた広瀬は、彼の腕の中で不意に目を覚ました。気を失って目を開けると、すぐ近くに彼の横顔があった。 いつの間にか縛っていた長い髪は解け、白銀の髪に赤い瞳を持つ彼の横顔は美しく、ミステリアスな雰囲気がより一層、広瀬の心をとらえた。彼の放つ妖艶な色気に見とれると、黙って彼の横顔をジッと見つめた。 「……教授」 「おや、広瀬君。目を覚ましたのかい?」 腕の中で教え子が目を覚ますと、彼は不意に視線を向けた。そして、広瀬に優しく話しかけた。 「大丈夫かい広瀬君。さっきは無茶をさせたね、私とした事が悪かったよ。キミが私の前で余りにも可愛いから、ついね…――」 「いえ、そんな事は……」 「ちょっと大人げなかったかな?」 彼はそう言って広瀬の左側の頬に優しく触れた。  

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