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─輪─

幼い頃から親に期待されて育った。だから勉強は常にした。どんな時も俺にはひたすら勉強が嫌と言うほど付き纏った。子供の時から塾漬けの毎日を過ごした。そして、家では遊ぶ事もなく。休む暇さえ無いまま、ひたすら勉強ばかりしていた。  その努力の甲斐もあって、学校では成績は常に優秀で学年トップ1位だった。両親は俺が誰よりも優秀で良い成績を獲った時には、目の前で大喜びしていた。 そんな両親の気持ちとは裏腹に、自分の心は砂漠のように乾いていく。まるで脱け出せないループにハマって、これからもまた同じ事の繰り返しかと思うと心はますます砂漠の様に乾いた。そんな勉強ばかりの暗い青春を過ごしていたので、その所為か友達も少ない方だった。そして人生が狂い出したのは高校3年の時の大学受験だった。  肝心な時に高熱を出してしまい。フラフラな足取りで無理やり会場に行ったが、あの時はまともに入学試験をやれなかった。その結果、自分が希望する医大には受かれなかった。その時の両親の顔が今も忘れられない。2人は落胆した俺に一言『しょうがない』と声を掛けた。その言葉に自分の中で色々な感情が一気に爆発した。 その時だけ両親の前で八つ当りした。それが人生で一度だけの親子喧嘩だった。結局は自分が希望する大学にも入れなくなって、その時に何もかも諦めて自分の将来に絶望した。 むしろ一層、死んでやるって気持ちが強かった。そんな俺を見て両親も気持ちは同じだった。父の『夢』はいつの間にか、幼い弟に託された時点で自分への期待が無くなった事に薄々と気づいた。その後、別の普通の大学を受けた。そして、入学試験に合格した俺は今居る所で悠真と出逢った。  

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