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克哉
「どうだったの克哉、警察は……? 彼らは悠真を探してくれるって…――?」
母親は心配そうな表情で息子に尋ねた。顔色は悪く頬は窶れていた。今にも倒れそうな母を父が隣で支えていた。
「ああ、ダメだった……。警察は話しを取り合ってくれなかった。それどころか、マトモに対応してくれなかったんだ。それに捜索届けを出しても、無駄だった。あいつ、俺が出した捜索届けを一旦窓口で預かるとか言った癖に一度も見ずに、引き出しに閉まったんだ! それで弟が一週間経っても家に帰って来なかったら、また署に来いって言われた…――!」
克哉は悔しそうに唇を噛みながら、両親にそのことを伝えた。母親はその話に嘆いた。
「あぁ、なんて事なの……!? 貴方、悠真が……! 私の悠真が…――! 警察が探してくれないって、一体、どういうことよっ!!」
『由香落ち着きなさい!』
「落ち着いていられるわけないでしょ!? 悠真は私と貴方の息子なのよ! 自分の大事な子供が消えたのに、呑気に落ち着いていられるはずないでしょ!」
母親は激しく取り乱すと夫を叩いて責めた。
「父さん母さん、俺達で悠真を探すしかない! 警察はもう当てにならない……! このまま当てにするだけ無駄だ!」
「克哉…――!?」
父親と母親は息子のその言葉に動揺した。
「当てなんかあるの……!? 私達で探しても悠真はみつからないわよ! ここはやっぱり、警察に頼るしかないわ…――!」
母親はそう言い返すと溢れる涙をグッと堪えた。
「当てなんかあるものか! だけど探さないと、悠真はみつからないじゃないか!? きっとこうしている間も俺達に助けを必要としてるはずだ! 俺は探す、警察に頼らなくても必ずみつけ出す! だって悠真は俺の大事な弟だ! 兄貴としてこのまま大人しく引き下がれるかよ!」
克哉は2人の前で声を張り上げると感情的なった。そこで強い憤りを感じると、彼は先に家に帰った――。
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