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支配者
突然、自分の首を両手で締められると息が出来なくなった。そして窒息しそうになり苦しんだ。
「あがっ……! くっ……! うぐぅっ……!」
「人がさっきから優しくしてあげてるのに、何でお前はそうなんだ!? 何で私の言う事を素直にきかない!? お前を一層この手で今すぐ殺してやりたいよっ!!」
『うぐぅっ……!!』
仮面の男はそう言って両手の力を強めた。悠真はその下で殺されかけている虫のように、ジタバタさせながら踠(もが)いた。そして段々と意識が朦朧としてくると体の意識が次第にもってかれそうになった。そして徐々に体の抵抗力を失いかけた。手に力が入らなくなると、そのままシーツの上に両手をパタンとさせた。その瞬間、男はハッと我に返った。
「あっ……!」
その場で焦ると、悠真の首から両手を離した。そして『しまった』と呟くと怒りの感情から冷静な感情を取り戻した。
絞められた首から手が離れると、悠真はそこで苦しそうに咳き込んだ。そして、無我夢中で息を吸った。仮面の男は我に返ると、そのまま上から呆然と見下ろした。
「ゴホゴホッ……!」
「悠真…――」
名前を呼ばれると、そこでギクッとした表情を見せた。その瞳の奥は恐怖で支配されていた。殺されかけたその表情は、もはや恐怖でひきつっていた。そして顔色は青ざめていた。悠真は名前を呼ばれると咄嗟にベッドから起き上がって走って逃げようとした。だが、腕の鎖をグイッと掴まれると再びベッドに戻された。
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