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支配者

『うぐっ、ううっ……!』 体のバランスを崩すと苦悶の表情で横たわった。痛みに苦しそうにしている様子を見て彼は冷たい眼差しで眺めていた。完全に動けなくなると、持っていたスタンガンを自分のポケットに戻した。 「ほら、また一つ傷が出来た。そうやって悠真が私に歯向かえば歯向かうほど見てごらんよ、体に傷痕の刻印が刻まれていく。あと、どれだけ痛めつけられれば気が済むんだい? 私は可愛い悠真を無闇には傷つけたくないんだよ。どうしたら、解ってくれるのかなぁ……」 そう言って仮面の男は悠真の体に上から覆い被さると蛇のように妖しく絡みついてきた。そして、後ろから髪をそっと触れた。まるで呪いをかけるように絡み付くと歪んだ憎愛を曝け出した。  体に触れられると心臓は急激に早くなり、心音さえもうるさく聞こえた。そして、何よりも強い吐き気と拒絶感が同時に自分の体を襲ってきた。触れた場所から腐蝕して腐ってくような侵触感に体は犯された。 「――キミの身体につけた刻印は私だけの『もの』だ。そして、キミは私だけのものになるんだ。誰にもキミを渡しはしさない。呪うように、愛してあげるよ。それこそ、キミの世界が灰色の絶望に変わってもね? だれも助けになんて来ないさ。悠真はずっと私と一緒だ。ずっとこのまま永遠に愛してあげるよ。キミが私を拒絶しても構わないさ。だって時間はいくらだってあるんだから……」 仮面の男はそう言って耳元で怪しく話すと、彼のうなじにキスをした。気が狂ったような歪んだ愛を見せつけられると、ジッとしたまま黙って動かなくなった。そして、抵抗する気力さえも完全に奪われた。彼が大人しくなると、男はベッドから起き上がってワゴンの方へ向かった。そして再び戻ってきた。  

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