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失踪

「――今のは当然だな。天罰だ、天罰。いい気味。女性に対しての偏見的差別はよくないぞ?」 天野はテーブルの席に座ったまま、本をパラパラと読みながら話すとクスッと何気に笑った。 「さすが天野君だわ。どっかの下品な人と違って中身が素敵よね!」  カナは天野の隣の席に座ると、自分の体を密着させてきた。真樹は彼らにバカにされると、悔しそうな表情で睨んだ。 「よくまぁ、風俗だなんて行く金があるな。お前何か良いバイトでも始めたのか?」  龍騎は興味津々な顔で尋ねた。真樹はそう言われると『ああ』と一言返事をした。 「あんな安いカラオケのバイトだけじゃ、食っていけないからな。こないだから副業始めたんだよ2ヶ所始めただけでも懐は潤うってもんよ!」  真樹そう言って話すと、彼らの前でおちゃらけながら陽気に笑った。 「何だよ龍騎〜。俺がリッチマンになって僻(ひが)んでるのかぁ? お前だって本当はリッチマンの癖にして笑わすなよ」 「誰がリッチマンだ。そのダサい言い方、何とかしろ。マジでセンス悪いぞ?」 そこであきれた様子で言い返すと、タバコを一本口に咥えてライターで火を着けて一服吸った。 「カラオケのバイト行ってるんだろ。だったら、悠真もバイトに来てるのか? お前達バイト先も一緒だろ?」 竜騎はタバコを吹かしながら彼に尋ねた。真樹は頭を手で掻きながら答えた。  

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