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―現在―(そして…)
冷たい床の上で肌を重ねて、お互いの存在感を確かめ合うと彼の背中に爪を立てて、切なく喘いで求めた。さっきとは違う優しい扱いに彼の腕にしがみついて『もっと僕を壊して下さい』と懇願し。激しさと切なさの間で愛は情熱の炎のように燃えた。そして、二人は深く愛し合うと静けさが漂う部屋に切ない吐息が漏れた。やがて再び冷静に戻ると、広瀬は彼の隣で不意に話した。
「ねぇ、教授……」
「何だい?」
「あの曲……あの曲、素敵ですね」
「ああ、月の光は私の好きな曲さ。あの静寂で、柔らかなメロディが良いだろ?」
「はい……!」
「あの曲を聴くと心が落ち着くんだよ」
「教授はクラシックが好きなんですね?」
そう言って彼に寄り添うと瞳をジッと見つめた。
「クラシックはあの子が好きだったからね。月の光の曲も…――」
「あの子? 教授……?」
彼は一瞬、懐かしむように呟くと広瀬の方に視線を向けた。彼の瞳は何故か寂しそうに見えた。
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