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―現在―(そして…)

「あ、そう言えば教授。この前、頼まれた薬品を持ってきました。これで合ってますか?」  広瀬は自分のカバンから、透明なビニール袋に入ってる薬品の瓶を数本、並べて見せた。すると彼は目の前でフッと笑うと返事をした。 「ああ、間違いない。広瀬君、キミにおつかいを頼んで悪かったね」 「いえ、僕は貴方の為なら…――!」 そう言って目の前で微笑を浮かべると、彼の頭を優しく撫でた。 「これを待ってくるのに大変だっただろ?」 「え?」 「――ああ、これは危険な薬品だからね。取り扱い注意が必要なんだよ。それにもしもの時にキミがうっかり怪我をしたら危ないだろ?」 「教授……」 広瀬は彼の優しい言葉と気遣いに嬉しくなると、顔を赤くして照れて『そんなことないですよ』と言って明るく返事をした。彼は瓶を手に取りフッと笑うと、薬品を近くの棚の奥に仕舞った。 「あの、教授。その薬品を何に…――」 「これを持ってくる時、問題はなかったかい?」 「えっ……? あ、はい。薬品保管庫には他に誰もいませんでした」 「そうか――」  彼は不思議そうに答えると、言いかけた質問をやめた。 「今の実験で使うから必要だったんだよ」 「そう何ですね……? あ…でも、この薬品とかは僕達が使っている実験室にもありませんか?」   「広瀬君、キミはわかっていないね。意外とこの施設は薬品管理はきちんとしているんだ。だからあまり勝手に使うことは許されないんだ。わかるかい?」 「そういえばそうでしたね……。すみません、すっかりその事を忘れてました」 「いいさ、構わないよ。逆に気をつかわせたね。私は今興味深い実験をしているんだよ。できたら薬品とかも、気兼ねなく使いたいからね。だから広瀬君。この事は私と君だけの秘密にしてくれるかい?」 「教授……。ハイ、僕は誰にも言いません。貴方と二人だけの秘密ですね…――?」 「ああ、そうだよ。私達だけの秘密だ」  広瀬は自分が思いを寄せてる彼と二人だけの『秘密』を作ると、特別な気持ちになって気分が高揚した。 「あの、その実験を手伝わせて下さい。僕は教授の為にお手伝いがしたいんです……!」 「広瀬君…――」  

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