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―彼女―

「そうか、弟は普段通りだったか……」 「――はい。でも、もしかしたら悠真君の親友の『真樹』君なら何か聞いてるかも知れませんよ。あと、仲の良い男友達とか……」 「真樹?」 「はい、田嶋真樹君です。彼とは同じ中学からの付き合いだとか話してました。私はそこまで悠真君とは当時、仲が良かったわけではないので詳しい交友関係は知りませんが、あの2人は良く遊んでたみたいですね。あと他の人から聞いた話しだと今働いてるバイト先も一緒みたいですよ?」 「田嶋真樹……」  彼女の話に彼は不意にある事を思い出した。 「真樹君もここに通ってます。何か聞きたい事があれば彼に会うと良いですよ。きっと私よりも、詳しく知ってるはずです」 「弟の交友関係は俺も知らない事が多くあるんだが、前に悠真が居なくなった時にここを一回訪れた時。たまたま弟の知り合いが偶然いて、そこで何人か悠真と交友関係がある人の電話番号を聞いたんだ」 「え、そう何ですか……?」  その話しにカナは思わず驚いた。 「その後、何人かには一度電話を掛けて話しを聞いたがどれもみんな同じく『知らない』って答えたんだ。その時に実は、彼の方にも一度掛けたんだが何故か全然繋がらなかったんだ。そのあと、留守番電話にもメッセージを残したが、彼からの連絡は無くてそれきりだったけど。もう一度掛けてみる事にするよ」 「そ、そうなんですね……」  克哉はその時の事を思い出しながら話した。 「電話が繋がらなかったのは単にその時、忙しかったのかもしれませんよ。それに相手が留守番電話に気づいて無かった可能性もありますし。でも彼と未だに連絡が取れないなら困りましたね……」  カナは隣でそう言って答えると考え込んだ。 「私が真樹君に電話を掛けるにも、そこまで仲が良いわけでも無いので。かといって彼の電話番号も知らないので、直接話しを聞くのはちょっと難しそうです……」 「そう…――」  「ごめんなさいお兄さん。私ったら全然役に立ちそうにないみたいです……!」  自分が役に立たないと思うと、彼女は肩を落として彼に謝った。 「いいよ、そんな謝らないで。僕は君から話しを聞けただけでも助かった」 「ホントにごめんなさい。私もお兄さんと悠真君の力になれたらいいんですけど……」  克哉は落ち込む彼女に『大丈夫』だと言って、励ました。 「……そう言えば真樹君ですけど、最近なんだが忙しいみたいですよ。大学にもなかなか来ないで、毎日夜まで遊んでるとか、バイトばっかりしてるとか、彼の最近の行動が良く分かりません。それに何だが、ちょっとだけ変わった気がします」  カナは心辺りがある事を不意に口にした。  

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