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【第19話】―蜘蛛の罠―

大学の校内に龍騎の姿があった。彼は歩きながら電話をし、親友の近藤と楽しげに話す。 「お前、次のライブあるだろ。雑誌の撮影が早く終われば、ついでに帰りに観に行ってやるよ?」 「本当か? やり〜! じゃあ、お前にチケットやるわ。必ず観に来いよ?」 「ああ。しょうがねーから、ついでに観に行ってやるよ。場所は渋谷のど…――」  歩きながら電話で話していると、いきなり目の前に真樹が現れた。其処で相手を見ると、龍騎は電話で話している近藤に『一旦切る』と伝える。途中で電話を切ると龍騎は、ニヤッと笑いながら真樹に話し掛けた。 「何だ真樹かよ。今日は休まずに来てるんだな。来ないから心配してたぜ?」 「――白々しい。それよりお前こないだはどう言うつもりだ?」 「何が?」 「食堂での事だ。お前あの時、俺が金を渡す時に言ったよな。な事は話すなって。お前、意味分かってるのか?」 「何だよいきなり――」 「お前だけじゃねー。天野もだ。2人でアイツの話しをしてただろ。それもあんな場所で。お前達ふさげてるのか?」 真樹は不機嫌な顔をすると龍騎の胸ぐらを掴む。そして、後ろの柱に背中ごと押し付けた。 「おいおい、校内でいきなり乱暴か? 手荒い事をするなよ。俺達、だろ?」 「ああ、そうだ。だ。少しはお前も分かってるじゃねーか?」 「なあ、一つ聞いて良いか。余計な話しって悠真の事か? 何でアイツの話しを周りにしたらなんだよ――」 「言っただろ、余計な話しはするなって。それが余計なんだよ。遊んだ時、お前にいくら渡したと思っているんだ? その時に俺が言った事をもう一度その馬鹿な頭に思い出させてやろうか?」  そう言って真樹は、龍騎の胸ぐらを掴みながらギロッと睨む。 「アイツの話しはせずに。余計なことも、詮索もしないって話しだったのを覚えているだろうな?それが条件でに、金を渡してやっただろ。受け取ったなら約束を守れ、分かったな――」

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