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お隣りのツワブキさん⑩
「あの!せ、洗濯物干しましょうか⁉︎な、何かしてほしいこと、あります⁉︎」
智裕はマグカップを持ったまま立ち上がる。見上げる拓海の目はキュルンとしているように見え。
(か…可愛い?いやいや男の人、一児の父!)
煩悩を振り払うように、ブンブンと頭を振り回した。改めて拓海を見ると、拓海は下を向いて、両手で持ったマグカップを見つめていた。
紅茶の透明オレンジが拓海の鏡になっていて、ふと見えた拓海の顔が、まるで乙女のようであった。智裕の顔の温度も上昇する。
「ま…た……こうして、泊まりにきて……欲しいな…。」
「へ?あ…でもご迷惑じゃ……。」
「迷惑なんかじゃないよ…!」
赤面したまま拓海は必死に智裕を見上げた。バチリと目が合うが、智裕は突然すぎて逸らせなかった。
「俺、智裕くんのことが好き、なんだ……。」
智裕の脳内は、愛の告白というダイナマイトで大爆発を起こした。
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