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マツダ兄弟戦争勃発②
「今日という今日は許さねーぞ智之ィ。ポテチはのりしおが至高に決まってるんだ!それが世の常なんだぞ!」
「にーちゃんってそんなんだから残念なイケメンって言われんだぞ。」
グサッ
「お、お前は小学生でコンソメなんて、な、生意気なんだよ!だから背も伸びねーんだよチビ!」
グサッ
「う、うるせー!成長期なんだよ馬鹿野郎!あ!そうだ!さっき大介のにーちゃんから聞いたぞ!にーちゃん、クルミちゃんにフタマタされたって!」
「はぁ⁉︎さ、されてねぇし!何言ってんだ!俺がフッてやったんだよ!バーカ!」
「あ!あと!大竹 も言ってたぞ!にーちゃんはチンコが粗末で彼女を満足させられなかったとかな!」
グサグサッ
(宮西ぃ、大竹ぇ……。)
「あと江川のにーちゃんがポテチ食い過ぎたらデブになって恋人にフラれるぞー!って言ってたぞ!」
近所のネットワークによって智裕はKOされた。
「智之、一緒にコーラでも飲もうか。」
「そうだな!にーちゃんのバーカ!」
玄関から出てきた大介は智之だけを呼んで、家の中に招き入れた。智裕も続こうとしたら、ガチャリと施錠された。
「てめ!智之ぃぃぃ!」
「この家は今からコンソメ派の城だ!のりしお派は入るなー!」
「だ、そうです、お兄さん。」
「宮西弟その1!お前もコンソメ派かよ!」
ガチャガチャ、とノブを動かしても鉄製のドアはピクリともしない。
「はぁ……ったく、スマホも財布もねーし。宮西んチ…はヨーコさん来てんだっけ……。」
智裕にとって恒例になりつつあるような途方にくれてしまう状態。
そしてこれも恒例になりつつある、通りすがりの救世主ならぬ大天使が現れた。
「智裕くん?どうしたの?」
「拓海さん…ちーっす……あれ?茉莉 ちゃんは?」
「まだ保育園だけど。」
「そっか…今日土曜日っすもんね……あ、拓海さん!」
「ん?」
「拓海さんはポテチは何派ですか⁉︎コンソメなんてありえないですよね!ね?」
拓海は唐突な質問に困惑しつつ、「うーん」と空を見ながら考えて答えを導き出す。
「俺は、うすしお派かな。」
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