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マツダ兄弟戦争勃発③
一方、智之は食卓でコーラを飲んだ後に、大介と自分の部屋に入ってテレビゲームをする。いつも大介が来たらやっている2人プレイのアクションゲームだった。
宮西大介、智裕の同級生の宮西椋丞の弟で現在中学1年生、智之にとっては2つ上の幼馴染。
宮西家は今時珍しい4人兄弟で母子家庭で母は昼も夜も働きに出るため、昔からこうして松田家に大介や椋丞が来ることが多かった。というかそれが日常だった。
「なんでウチ来たんだよ。ヨーコちゃん、昔から知ってんじゃん。」
「んー……一応、気ぃ遣ってんだよ、これでも。」
「ふーん……あぁ⁉︎落ちる!」
智之が操作していたキャラクターが奈落へ落っこちて、残機がゼロになった。そしてつまらなさそうに持っていたコントローラーをポイっと投げた。
「あーあ、メシまで暇だなぁ。」
「いつも悪いな、俺までご馳走になっちゃって。」
「別に俺がメシ作ってるわけじゃねーし……。」
「それもそうか。」
ゲームを止めると智之はなんだかソワソワと落ち着かない態度を取る。大介はそれがおかしくて静かに笑う。
「お兄さんが気になるの?」
「は、はぁ⁉︎んなもん、気になるわけねーし!」
「でもさ……。」
大介は急に深刻そうな声をする。それに少しだけ怯える智之。
「お兄さん、財布もスマホも家の中だしさ……もうすぐ夜になるし、俺の家には入れないし……早く智之が許してあげないと…。」
「…あげ、ないと?」
「お兄さん、智之のこと一生恨みながら死んじゃうかもよ。」
こんな子供騙しな言葉、智之はまんまと引っかかる男子だった。
顔を真っ青にして部屋を飛び出した。ガタン、バタンと大きな音がする。それを聞くと大介は笑った。
「ほんと、可愛い奴。」
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