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マツダ兄弟戦争勃発⑤
「智之?どうしたの?」
クッションに座って漫画を読んでいた大介は不思議そうに智之を見る。智之は半泣きだった目が、泣きっ面になった。
「だ、だい、すけ……に、にーちゃん……が…。」
「お兄さん?いたんだろ?仲直りしたのか?」
「い、いたけど……その、えっと……。」
また先ほどの光景が頭の中に再生された智之は顔がとても熱くなった。
頭のてっぺんから湯気が出そうになる。耳まで真っ赤になるくらい恥ずかしいが、意を決して事実を口にする。
「に…ににに…にーちゃんが……き、きす…してた。」
「………キス?って。」
「知らねーの⁉︎口と口でブチューってやるやつ!ジンコーコキューみたいなの!」
「それは知ってるよ。お兄さん、誰とキスしてたの?この棟に高校生の女の子なんていないじゃん。」
「え……っと………隣の茉莉ちゃんのおとーさん……。」
空間が無音になる。
しかしそれを壊したのは玄関から聞こえるガタン、という音とダラけきった兄の声だった。
「あー、ったく、散々だぜ。やっと開いたのかよー。」
それは階段で聞こえた色っぽい声とは全く別人のようでいつも通りのヘタレな声だった。
その変貌ぶりに智之は恐怖を覚えたのか顔が一気に青くなる。
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