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マツダくんは常に災難①
4月もそろそろ終わりに近づいて、学生たちは五月病という言い訳はまだ通用しないのに憂鬱な気分になっていた。ただし、授業中のみ。
そんな日の昼休み、2年5組の教室に白衣の大天使が降臨なされた。
「と……えっと、松田くん、いますか?」
その白衣の大天使がひょっこりと入り口から顔を覗かせただけで、教室は男女共に叫んだ。「きゃー」「うおー」という叫び。
「松田くん?」
松田智裕 は購買で買ってきたメロンパンをくわえたままで悶えて机に伏して窒息してた。
それは自分を呼んでいる大天使、養護教諭の石蕗 先生、もとい、恋人の拓海 が気を遣って名前を呼び直した行動が原因だった。
そんなことで可愛いと悶えるほど、智裕は拓海に夢中になっている。
「センセー、松田ここで死んでるよー。」
智裕の近くにいた男子生徒が智裕の方を指して拓海に教える。すると拓海は慌てて智裕に駆け寄った。
「と…松田くん!大丈夫⁉︎」
「うぐぅ……。」
顔をあげて智裕は必死にモシャモシャとメロンパンを咀嚼 して飲み込んだ。胸をゴリラのように拳で叩くとなんとか落ち着いた。
「ぷはぁ!死ぬかと思った!」
「もー…心配させないでよー。」
「悪ぃな……じゃなくて、すいません。」
プクッと膨れて智裕を上目遣いで見つめる拓海。
(やべ可愛い!今すぐ押し倒してぇ!キスしてぇ!)
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