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マツダくんは常に災難③

智裕の背中が見えなくなったことを見計らったかのように、ミルクティーを飲んでいた宮西が口を開く。 「ツワブキちゃーん、松田ともうセックスしたの?」  クラス中が気になっていたデリケートな疑問をド直球(ストレート)に、しかも智裕でなく拓海にぶつける宮西。真顔なのが尚のこと怖かった。  訊かれた拓海は耳まで真っ赤になっている。その表情に男子たちはときめく。  真面目で保護者ポジションの江川も頬を赤らめてしまうほどの可愛らしさと色気だった。 「で、どーなの?」 「み、宮西くん、僕と松田くんは家が隣で松田くんのご家族にも娘がお世話になってるってだけだから!そ、そんな如何わしい関係じゃ…。」 「ツワブキちゃん、このクラス全員、松田とツワブキちゃんのこと知ってるから。」 「え?え、えぇぇぇぇぇぇ!」  拓海は穴があったら入りたいくらいの羞恥に襲われていた。  そうしている間に智裕が通話を終えて戻ってきた。 「た……石蕗先生、うちのオフクロたちは大歓迎だと。明日休みだから茉莉ちゃんはうちに泊まらせるよ、だって……って、なにこの状況。」  拓海は耳や首筋を赤く染めて両手で顔を覆っていた。  その姿で智裕は察し、宮西の方を向いた。 「お前……何かしたろ?」 「何もしてねーよ?ツワブキちゃんにお前とセックスしたのか質問しただけだ。」 「それが何かしてんだよぉぉぉぉ!」 「丁度いいからチューしろよチュー。」 「鬼だ!お前は鬼だ!」  宮西の悪ふざけで、他の男子と腐女子コンビが外部から見えないように扉と窓とカーテンを閉めた。  八方塞がりにされる。もう逃げられない状況。  赤くなって、震えている拓海を早くこの場から帰す為に智裕は意を決した。 「俺はまだ童貞だっつーの!」  そして拓海の肩を思い切り引っ張り、頭を掴んで、拓海の熱くなっている唇に思いっきり己の唇をぶつけた。

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