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ツワブキさんの本能②
「なんでそのことを、って思ってんだろ?」
「あ………いや、そ、それはぁ…。」
「お前もガキだよな。爪が甘 ェんだよ。先週だっけ?昼休みに職員トイレの近くでブッチュブチュしてたら嫌でもわかるわ。」
「…………ーーーっ!」
智裕は言葉が出てこなくて口をパクパクさせた。
(み、見られてたぁぁぁぁぁ!見られてしまってたぁぁぁぁぁ!絶対誰もいねーと思ったほんの1分くらいを見られてしまってたぁぁぁぁぁ!)
「ま、俺は生徒の色恋や性癖にどーこーいうつもりはねーけど。」
「ほっしゃん…やっぱ俺すげーヤバいことしてんのかな。」
「あ?」
智裕は星野から出てくる次の言葉が否定の言葉だと勝手に予想して怯える。ガタガタと小刻みに震える大男を、星野はクスッと笑い長い腕をしならせ、思いっきり背中を叩いた。
「いてぇ!」と叫びながら前進して吹っ飛ぶと、智裕は星野を涙目で訴える。
「いてぇよ!手加減しろよ!どんだけ筋力違うと思ってんの!」
「なんかイライラしたから。」
「ストレスの捌け口なの⁉︎ひでぇ!体罰どころじゃねー!」
「うるせー。余計なことウジウジ考えんな。」
煙を吐くと、携帯灰皿に吸い殻をしまい、星野は立ち上がって智裕に近づいた。
智裕はまた殴られると思いビクついてしまう。しかし今度は頭をワシャワシャと撫でられた。
「外野の声はどうだっていい、って俺はお前に教えなかったか?」
「あー……うん。」
「だったらそれを忘れるな。お前はお前だ。」
「………はい。」
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