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ツワブキさんの本能④
「ん……んん……。」
段差で横たわっていた拓海がモゾモゾと動き出し、それに気がついた2人は拓海の元に戻った。
「石蕗先生、声聞こえますか?」
「んん……あぃ……。」
「家の鍵、どこですか?」
「か、ばん……れふ……。」
星野は拓海の通勤用のリュックのポケットなどを探る。
そして変な目をしたウサギのキーホルダーを見つけて取り出す。
「何これキモッ!」
「キモくねーよ、俺とお揃いだ!」
「お前もかよ!これ何のキャラだよ…。」
「知らん。オフクロが大量にもらってきてた。」
「明らかに在庫処分だな。」
星野とそうやり取りをしている智裕の声を泥酔状態でも拓海は認識していた。
「と……もひろ……くん?」
「拓海さん?大丈夫?立てる?」
「と……ともひろ、くん……う…うぅ……。」
ユラユラと上半身を起こしながら拓海は智裕にすがる。
智裕は優しく抱きとめて若干オロオロしながらも拓海を落ち着かせようとする。
「ほっしゃん⁉︎え、何これ!拓海さん何されたの⁉︎」
星野は少しだけ考えた。
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