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穏やかな休日のフタリ②
「智裕くん……シャワー浴びてる?」
ドア越しから拓海の声がしたので、智裕はシャワーを止めて返事をした。
「ご、ごめん!勝手に借りた。」
「ううん、いいよ。あのさ、お湯溜めてくれない?俺も目が覚めてさ、お風呂入りたくなって……。」
「わかった。」
智裕は湯船に栓をして、浴室内の給湯器のスイッチを押した。機械の案内音声が流れて、お湯が出てきた。
「今入れたから、あと10分くらいじゃないかな?」
「ありがとう。ねぇ……智裕くん。」
「何?拓海さん。」
「よかったらさ……一緒にお風呂、入りたいな、って。」
恥ずかしそうに尻すぼみな声で拓海はそう言うと、智裕は顔が真っ赤になり恥ずかしくなる。
昨夜はもっとすごいことしたはずなのに、一緒に入浴はハードルが高い気がした。
智裕の動悸は激しくなるが、考えを頑張って巡らせる。メリットデメリット、損得、レア度、全部をひっくるめて。
「い…い、よ。」
その答えを出す間に給湯器から音楽が鳴り音声が「お風呂に入れます。」と合図する。
智裕はザブン、と湯船に沈んだ。そんなに時間はかからずに、タオルで身体を隠した拓海が浴室に入ってくる。智裕は思わず凝視する。
「あ……あんまり、見ないで…っ!」
「え、あ、ご、ごめんなさいっ!」
拓海が顔を真っ赤にして泣きそうになりながら言ったので、智裕はグルン、と90度方向転換して壁を向いていた。
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