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ツワブキさんに好敵手?②
「ズボンの裾上げて、膝出して。」
「はーい……いってぇ。」
男子生徒は言われた通りに怪我をした箇所を拓海に見せた。拓海は濡らしたガーゼを当てながら眉を下げる。
「あー…何したのこれ?結構酷いよ。」
「野球してて、それでヘッドスライディングしたらこうなった。」
「だから制服もそんなドロドロなんだね。」
(昼休みの野球でヘッスラとか馬鹿じゃねーの⁉︎)
しかし現時点で1番馬鹿なのは、恋人に手を出そうとしてビンタをされてベッドの布団を被り隠れている智裕であった。
ムスコも萎えたところで、智裕はベッドから出た。まるで今まで寝てました、のテイでカーテンを開ける。
「ツワブキ先生、もう大丈夫なんで教室戻りまーす。」
「あ…松田くん。」
拓海は男子生徒の手当てをしていたが、智裕の方を見ると寂しそうな顔をする。智裕はその拓海の表情に、またキュンとなる。
(また俺のムスコが反応する前に出なければ…!)
急いで保健室のドアに手をかけた時だった。
「まっつん!うっそ、まっつん⁉︎」
自分と拓海以外の声。
消去法で、拓海が手当てしている怪我人の男子生徒が智裕を呼び止めた。智裕は思わずそちらを振り返る。
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