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ツワブキさんに好敵手?⑤

 拓海は脳が重いハンマーで殴られたような衝撃を受けた。  片そうと持っていたピンセットを落としそうになった。 「俺はバレーやってんスけど、野球の日本代表と合宿所が何度か一緒になってまっつんと、知り合ったんですよ。そんで中2の時に俺めっちゃ練習でしごかれて裏庭で1人泣いてた時に、まっつんが来てくれて『メシだぞ。』って呼びに来ただけなのに俺それがすっげー嬉しくて、そっからまっつんのこと好きになったんです。」  泣きそうになる、だが理性をフル回転させて堪える。だけど水上の目を見れない。 「まっつんって、ずっとあんなんで、ヘタレだし何故か男子バレーやサッカーの奴らにもイジられまくってU-15のファンにも愛されキャラみたいな感じだったんだけど、1歩グラウンドに出て、マウンドに立つとさ、すっげー別人。圧倒的なオーラで鬼のようだった。それが俺にはカッコ良く見えてさ………地元も近くだったし、またまっつんに会いたくてここに入学したんです。」  水上の智裕への恋慕が、グルグルと拓海の思考を支配する。  気付かれないように冷静に呼吸をして水上の目を見ると、その目は本気で恋をする人のものだった。 (多分、俺も智裕くんのこと考えている時、こういう顔をするんだろうな……。) 「まっつんに前に好きな人のタイプきいたら、セクシー系の巨乳のお姉様とか言われたから、あー、まっつんは普通に女の子が好きなんだよなーって思って、だからこの気持ちはずっとしまっておくことにしたんですよね。」 (智裕くんの好きな女の子のタイプなんて聞いたことなかった…。俺なんかには縁遠いタイプだ。) 「でも、さっきやっとまっつんと会えて……やっぱ好きだなぁって。」 (もう、聞きたくないよ……だけど、水上くんは、本気で…。) 「先生、また色々相談してもいいですか?こんなこと誰にも言えなかったから、なんか少しスッキリした。」 (聞きたくない、もう来ないで!) 「俺でよければ、また聞いてあげるよ。」  拓海は自分を押し殺しての正解を選んだ。

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