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ツワブキさんに好敵手?⑥
2年5組のチャラ男、若月 は昼休みに3年生の女子生徒と一戦交えてスッキリした足取りだった。
そういうことをするのは専ら人のいない校舎裏と相場が決まっている。
だから人がいるとは思わなかったので、思わず声をあげてしまった。
「うわあっ⁉︎」
足にドン、と何かが当たって確認すると塞ぎ込んで丸くなっている人。制服ではなく白衣を着た小柄な人。若月はそれで誰か分かった。
「え……ツワブキ、ちゃん?」
「あ…ごめんなさい。」
拓海は顔を上げた。そして若月は更に驚いた。
「ちょ、ツワブキちゃん⁉︎どしたの?なんかあった⁉︎」
「え……あ、な、何も……ない、ですよ…?」
「だって目ぇ真っ赤だし、あー鼻水も出てるし……。」
「ほんと、だ……あはは……みっともないとこ………。」
笑いながらも拓海はボロボロと涙が止まらないようで、若月は慌てる。
「もしかして、松田となんかあった?」
「え……。」
「あ、俺5組だから知ってるよ。ツワブキちゃんと松田のこと。安心して、ね?」
「そ、そうなんだ……うぅ……ぐすっ。」
若月は拓海の隣に腰を下ろした。拓海はまた膝を抱えて涙を流した。
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