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フタリの和解①

 拓海(タクミ)に避けられて早4日が経過した。もう週末になっていた。  しかも週明けは中間テストで本当に会える時間が少なくなる。智裕(トモヒロ)は本気で焦っていた。 「あのさ…オフクロ……今から明日まで暇?」 「は?何言ってんのアンタ。」 「暇?」 「まあ特に予定は入れてないけど。」  家族4人が揃う食卓で智裕は突然話を切り出す。母だけでなく、父と弟の頭の上にもクエスチョンマークが浮かぶ。 「何だ、どこか行きたいところでもあるのか?」 「あ、なら俺隣町のホームセンター行きたい!」  普通に考えればそういうことになるだろうが、智裕の理由は家族の斜め上を行ってた。 「今から明日まで隣の茉莉(マツリ)ちゃんの面倒見てくれ!」  立ち上がって、その勢いで口に出した智裕の頼みに唖然として3人とも言葉を失ってしまった。  そして智裕はすぐに家を飛び出した。 「智裕!あんたご飯途中でしょ⁉︎」 「いらねぇ!智之(トモユキ)食ってて!」 「マジで⁉︎ラッキー、もーらいっと。」  ガタンガタンと騒がしく音がして玄関は閉まった。  そしてものの1分でまた開いて閉まる。  母は玄関の照明をつけると、パジャマ姿の茉莉ちゃんがキョトンと立っていた。 「ああいあー!」  父と母のジジババスイッチが入った。

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