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フタリの和解④
「マジで…俺ん中じゃ、このことって…すげーダサくて、ヘタレの極みだから…拓海さんに、嫌われたくなくて……嘘ついたのに……ごめん…本当にごめん……。」
「俺はそんなことで…智裕くんのこと嫌いにならないよ……嘘の方が嫌だったよ……。」
「拓海さん……俺、拓海さんのことマジで好きだから……ほんと、辛かった…。」
智裕は安心して腰を抜かしてしまい、膝から崩れ落ちた。拓海も座り、智裕を覗き込む。
「俺……もう大丈夫だから……ぶっちゃけ部活辛くて早く辞めたかったし……今がすげー楽しいし。」
智裕は涙と鼻水を拭いながら顔をあげて、いつものように笑う。
「ヘタレに拍車かかったとか、めっちゃいじられるけど……それでも俺を好きでいてくれる?」
「……俺、若月 くんに智裕くんが野球してる動画見せてもらったよ……だけど、俺は、今の智裕くんの方が好きだなぁ…って思ったよ。」
智裕はその言葉に驚いた顔をする。
「…………マジ?」
「うん、マジ。だって、智裕くん、すっごい怖い顔してた。こんなに素直で優しいのが消えちゃってたから。」
ふわりと笑ってそう言われると、智裕は救われたような、そしてその笑顔に見惚れる。
「拓海さん……俺、ほんと、拓海さんが…好き……。」
拓海を引き寄せて、智裕は拓海の唇に触れた。
拓海もそれに応えて、何度も深く、深く、キスをした。
「拓海……ベッド、行こ?」
小声で囁かれたその頼みを、拓海は受け入れる、と小さく頷いた。
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