120 / 1000

フタリの和解④

「マジで…俺ん中じゃ、このことって…すげーダサくて、ヘタレの極みだから…拓海さんに、嫌われたくなくて……嘘ついたのに……ごめん…本当にごめん……。」 「俺はそんなことで…智裕くんのこと嫌いにならないよ……嘘の方が嫌だったよ……。」 「拓海さん……俺、拓海さんのことマジで好きだから……ほんと、辛かった…。」  智裕は安心して腰を抜かしてしまい、膝から崩れ落ちた。拓海も座り、智裕を覗き込む。 「俺……もう大丈夫だから……ぶっちゃけ部活辛くて早く辞めたかったし……今がすげー楽しいし。」  智裕は涙と鼻水を拭いながら顔をあげて、いつものように笑う。 「ヘタレに拍車かかったとか、めっちゃいじられるけど……それでも俺を好きでいてくれる?」 「……俺、若月(わかつき)くんに智裕くんが野球してる動画見せてもらったよ……だけど、俺は、今の智裕くんの方が好きだなぁ…って思ったよ。」  智裕はその言葉に驚いた顔をする。 「…………マジ?」 「うん、マジ。だって、智裕くん、すっごい怖い顔してた。こんなに素直で優しいのが消えちゃってたから。」  ふわりと笑ってそう言われると、智裕は救われたような、そしてその笑顔に見惚れる。 「拓海さん……俺、ほんと、拓海さんが…好き……。」  拓海を引き寄せて、智裕は拓海の唇に触れた。  拓海もそれに応えて、何度も深く、深く、キスをした。 「……ベッド、行こ?」  小声で囁かれたその頼みを、拓海は受け入れる、と小さく頷いた。

ともだちにシェアしよう!