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フタリの和解⑤(※)

 ベッドの上で2人は向かい合って座り、互いの両手を握り、何度もキスを繰り返す。    舌を絡ませたり、唇に触れるだけだったり。 「……この前、酔ってて…覚えてないから……なんか恥ずかしい…。」 「うん……俺も…ぶっ飛んでたから、緊張する……。」  智裕は拓海の輪郭に触れ、もう一度、キスをする。拓海の着ているTシャツを脱がせて、きめ細かい肌を直に触れる。  すると拓海はその手をそっと握る。もう片方の手で智裕の(てのひら)に触ると、拓海は気付いた。 「手……硬いんだね。」 「そうかな……?」 「好き……。」  拓海はその掌を愛おしくキスをする。 「智裕くんって、右利き?」 「右利きだけど……運動だと左。左投げ左打ち、蹴るのもクラウチングスタートも左だし…。」 「ふふ……また、智裕くんのこと知れた。」  そうして笑う拓海に、智裕は心臓が跳ねた。  拓海がキスしたその手の親指で拓海の艶やかになっている薄い唇をなぞる。 「ん……。」 「可愛いな……。」  拓海は細い身体を引き寄せられて、胡座をかいている智裕の太腿に乗る形になる。智裕の硬い掌が拓海の全身を撫でて、また細い輪郭に添える。  拓海は左手で智裕の肩に掴まって、右手で同じように輪郭に添える。  お互いの熱を帯びた目線を絡める。 「もう、嘘…つかないで…。」 「うん。」 「俺は、どんな智裕くんも大好きだから……。」 「……じゃあ、本当のこと言うよ。」  智裕は拓海の耳たぶを唇で挟んで、鼓膜に息を吐くように。 「拓海がめちゃくちゃになってんの、すげー見たい。」

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