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オオタケくん争奪戦③

 直倫のあまりに大きな声で、5組以外の生徒にも聞こえてきまった。  そして5組は絶叫してしまう。 「お前らデキてんのかよ⁉︎」 「デキてるわけねーだろ!」 「こんなむさ苦しいヘタレとデキるなら死んだ方がマシだわ!」  もちろん裕也と智裕は反論する。2人ともはお互いを見ると全身にサブイボが立つ。 「つーか大竹に告った物好きがこんな爽やかイケメンだったんかい!」 「既にシケメン松田くんは負けてる…。」 「君ー、そんなヘタレと勝負なんて時間の無駄だよ?」  男女問わずに直倫アゲの智裕サゲの評価が下る。  このディスりを逆に声援に変えた智裕はビシッと仁王立ちして直倫と向かい合う。 「そうだ!俺なんか比べる価値のないヘタレだ!そんな俺が大竹を幸せになんか出来ない!というか大竹がどうなろうと知ったこっちゃない!」 「おい!それが10年来の友人に向ける言葉かぁぁぁぁ!」  某探偵の孫のようなポーズで決める智裕。  言ってることは最低過ぎて、男子は爆笑、女子は何人か引いている。 「おい!見捨てないでくれよ!俺は巨乳の160cm以下のふわふわ系女子と付き合うことが夢なんだよ!巨根はお呼びじゃねーんだよ!」 「先輩、何故俺が巨根だと知っているんですか?」 「お前は黙っとけえぇぇぇ!」  駄々をこね続ける裕也、見捨てようとしている智裕。  それを少し離れた場所から見つめる、高梨&増田。 「増田さん、ごめん。こんなに萌えないシチュ初めてかも。」 「奇遇だね。あの1年生はいいんだけど、松田くんと大竹くんは…ちょっとねぇ……。」 「1年が松田を寝取る、という展開もありね。」 「そうよね。今は相手が石蕗(つわぶき)先生だからヘタレ攻めになってるけど松田くんはどう考えても受けなのよね。」 「あーわかる。」  智裕×裕也は腐女子の妄想のエサにさえならなかった。

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