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オオタケくん争奪戦⑤
少し前、放課後になり帰ろうとしていた直倫 はクラスメートの水上 に呼び止められた。
「赤松、テスト最終日ってさ、野球部って部活すんの?」
「いや、16時に再集合してから始めるが……なんだ、見学か?」
「いや、俺も17時からチームの練習だし。それまでは野球用のグラウンドって使える感じ?」
「まぁそうかもしれないけど…。」
「中間テストの最終日にさ、俺が提案した、松田先輩から大竹先輩奪還作戦を決行しないか?」
ニヤリと笑った水上はカバンから真新しい軟式の野球ボールを取り出してそれを直倫に渡した。
「ストラックアウトとかどう?」
「いや…俺は内野手で投手ほどのコントロールはないんだが…。」
「多分勝てるよ。まっつん、今は右で投げるんだ。昔、見たことあるけどマジで下手だったから赤松にも勝機あるぞ。」
「しかしあれだけ投げられる投手に右も左もないのでは…。」
「あー、まっつんって天才型なんだって、当時のチームメートもすっごい笑ってたよ。右投げは素人以下でキャッチボールもぶっちゃけ俺の方が上手いからね。」
「そうか……わかった、じゃあその日の放課後に2年5組に行ってくる。ありがとう、水上。」
「俺も応援するから頑張れよー。」
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