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マツダトモヒロの覚醒(11)
夕方のグラウンド、野球部の道具がある倉庫の前に制服を着た男子生徒がいた。
体育着の上にゼッケンを着た野球部員が部活動の準備をしに倉庫にやってきた。
「赤松!」
倉庫の前で待ち伏せていたのは裕也だった。
呼ばれた赤松は目を丸くしたが、同時に嬉しさがこみ上げた。
「ちょっといいか?」
「…はい!」
赤松は他の部員に断って、裕也についていく。そして2人が着いたのは、既に人気のない昇降口の前だった。
「今日は悪かったな……あのあと、なんか放ったらかしになって。」
「いえ……俺が蒔いた種ですので、気にしてません。」
気まずそうに裕也は直倫から目を逸らして、頬を掻く。
「その……2年の清田から聞いた。お前ホントは内野だって……なのにトモにあんな勝負する為に練習したって。」
「……そんなこと、ないです。」
「なんかお前勘違いしてるっぽいけど、俺とトモはマジで幼馴染ってだけだし、トモにはもう恋人いるから。」
「はい、先ほど松田先輩から聞きました。」
「そっか…なら、いいや。」
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