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拡散されるマツダくん④

 ピンポーン  朝6時半、松田家のチャイムが鳴り、新聞を読んでいた父が応対した。その10秒後、まだ熟睡中だった智裕は叩き起こされた。 「智裕、起きろ!」 「ふぁあぁぁ……あと5分……。」  いつもは7時15分に目覚ましをセットしている智裕は頑として起きる気配はなかった。 「先生、上がって下さいよ。」 「では失礼します。」  また智裕は夢の世界へ突入しようとしてた。 「うへへ……たくみぃ……。」 「ほぉ…石蕗(つわぶき)先生のエロい夢でも見てんのか、ねっ!」 「あだあぁぁぁぁぁぁ⁉︎」  智裕は思い切りコメカミを指圧されて、その痛みで飛び起きた。父や母、ましてや弟の智之にもあり得ない力だった。  自分が暴漢にでも襲われたのではないかという挙動で周囲を見渡すと、自分の真ん前に仁王立ちする、担任の星野がいた。 「ほっしゃん⁉︎え?ここ、俺んチ?え⁉︎」 「まず起きたら、おはようございます、だろ。」 「えぇぇぇ⁉︎」 「おはようございます、松田くん。」 「おはよーございます……じゃねーよ!何でほっしゃんがここいんの⁉︎俺今の今まで拓海さんにご奉仕されてだな!」  智裕はとても幸せな夢を見ていた。  好みのセクシーお姉さん系AV女優に迫られて、なすがままにされていたらその女優が拓海にすり替わっていて、智裕の自身を拓海が可愛らしい口で愛撫して。 「ほぉ…悪かったな、現実は可愛い石蕗先生じゃなくて。お前と親御さんに話がある。さっさと顔洗って来い。」  何が何だか分からない状態だったが智裕は星野に従うことにした。  寝間着のシャツのまま顔だけ洗って食卓に向かうと、星野は父と向かい合って座っていた。智裕は父に促され、父の隣の椅子に座った。

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