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さようならツワブキさん③
「俺この1週間、野球バカ状態になってて拓海さんのことすっかりさっぱり放置してしまって本当にごめん!」
「あ……。」
(智裕くん…そんなこと気にしてたの…?)
「この前のことですげー心配かけたのに……俺、自分のことばっかりで拓海さんの気持ちを考えなかったこと、今朝謝ろうと思ったんだけど、拓海さんに何でもないって言われて、俺もカッとなちゃって……本当にごめんなさい!」
「そんなの……あれは俺が…。」
(俺が勝手に、水上くんに嫉妬してしまっただけなのに…!)
「拓海さんが坊主嫌いかもとか全然考えないで頭剃っちまったしそれも謝んなきゃって思ってて。」
「もう大丈夫だから!」
拓海は少し大きい声を出して智裕を黙らせた。
智裕はやっと顔をあげると、ほぼ同じ目線に膝から崩れて泣いている拓海がいた。
「俺…1日でこんなに泣いたこと……ないんだよ?」
「拓海さん…。」
「ごめんね……こんなにいっぱい謝らせて……ごめ…ん…ね……。」
(こんなんじゃ…駄目だ…俺……智裕くんは、何も悪くないのに…。)
「いや、これはマジで俺が悪いから。」
「俺……怖いんだ……すっごく…。」
「へ?」
「俺ね、世界で1番大好きで大切なのはまーちゃんなんだけど……まーちゃんじゃなきゃ駄目なのに……まーちゃんが、励ましてくれても……俺、ぜんぜん…だめで……。」
拓海はこの1週間のことを思い出していた。
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