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昔のことを話そう【オオタケくん】⑥
高校だって、本当はもっと野球の強い私立の高校から特待生として声がかかっていた。
トモは自分がヘタレだから無理とか言ってたけど、本当は弟に「にーちゃん行かないで!」って泣きつかれてしまったからだった。
「やだやだ!にーちゃん!遠くに行くなよ!」
「わかったわかった!行かねーっつの!」
「え⁉︎マジで行かねーのかよ⁉︎」
「だって智之 が泣くしさ。」
あの時は呆れたフリをした。けど俺もすげー嬉しかった。
これからもずっと変わんないトモと一緒にいれるんだって。
高校に入ってから、トモは野球に打ち込んでる姿を女子に一目惚れされるようになった。
「モテ期キターーー!」
「うるせぇ黙れ死ね。」
「いや、松田は本性見せたら終わりだから彼女出来ても喋んなよ。」
初めて付き合った彼女には、物の見事に俺らの予感が的中。
普段のヘタレで優柔不断な態度が「思ったのと違う」と言われてわずか1ヶ月でフラれた。
そして暴力事件で退部に追い込まれた後に出来た彼女には、二股されてて破局。
あれは残酷すぎて笑っちまった。
こんなことが起こるたびに俺は安心していた。
やっぱトモはトモだなって。
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