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昔のことを話そう【オオタケくん】⑦
「なんで、そんな話を俺に……。」
5限目をサボった直倫 は、裕也 が寝かされているベッドのそばに座っていた。
「ちょっとした昔話だよ……寝てる間に思い出したからさ。」
「……裕也先輩。」
「ま、松田智裕っていうのはそういう奴なんだよ…。」
「………でも、俺は裕也先輩を知れて嬉しいです。やはり裕也先輩はとても優しい人です。」
「話す相手間違えたなこれ。」
裕也はまだ起き上がれず、顔を少しだけ傾けて直倫を見ていた。
「……赤松、あのさ………トモが少しでもおかしくなったら俺に教えてくれ。俺、野球部は色々叩きのめしちまって話せる奴いねーんだわ。今のトモ、壊れそうなんだよ……本当は俺……見たくねぇんだ。」
今日の智裕の顔、気絶する前の宮西と江川の諍 、それらを思い出し、裕也は気丈にしていた糸が切れてしまった。
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