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昔のことを話そう【エガワくん】⑧
「先生って、何を食べたらそんなにデカくなるんですか?」
「女かな。」
「訊いた俺がバカでした。」
「お前も十分デケェだろ。」
「まぁ……チビではないかなとは思いますけど。」
「しかもモテるしな。」
「モテても、興味持てないから意味ないですよね。」
「お前はホント真面目だな。1回くらい付き合ってみればいいじゃねーかよ。若月 なんか尋問かけられたあともヤリまくってんぞ。」
「俺は好きな人以外とはそういうことをしません。」
「でも好きな人もいないってところだろ。」
「これからできるかもしれないじゃないですか。」
「ふーん。」
裕紀はテープで包帯を留める。終わったと思った一起は「ありがとうございます。」と言って立ち上がった。
だが、またもや腕を引っ張られて。
「…せんせ……。」
目の前に裕紀の顔が迫っていて、気がついたら、唇が触れていた。2秒だった。
「じゃあ俺も立候補しようかな。お前の好きになる人に、さ。」
一起はあまりの出来事に、全身も思考も硬直してしまった。
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