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昔のことを話そう【タカナシさん】④

 中学校の3年間で、智裕は益々遠い存在になってしまった。  学校でも注目されて、ぶっちゃけとてもモテた。本人は中々気づいていなかったけど、私の周りには何人も智裕に好意を持った子がたくさんいた。私はその度に、胸が締め付けられていた。  そして3年生の時に風の噂で智裕が大阪の高校にスカウトされたという話が耳に入った。  あぁ、もう会えなくなるかもしれない。  そう思っていても私は智裕と距離を縮めることは出来なかった。  だけど3年の冬だった。たまたま帰りが一緒になった智裕に話しかけられた。 「高梨は高校どこ受けんの?」 「……四高だけど。」 「マジで⁉︎お前も四高かよ!大竹も四高だし、宮西とヨーコさんもだってよ!」 「アンタだけ仲間はずれってことね。」 「え?俺もう四高に決まったんだけど。」 「…………はあああぁぁあぁぁあ⁉︎」  スポーツ推薦で四高にした、なんて耳を疑った。詮索すれば、強豪校に行ってもやっていく自信がないとかぬかしていた。だけど後から大竹に聞いた、弟に泣かれて遠方の進学をやめた、っていうアイツらしい理由だった。  それでも嬉しかった。まだ智裕と近くで一緒に学校に通えるってだけで、嬉しかった。  そしていつか必ずこの気持ちを伝えようと思った。

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