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昔のことを話そう【タカナシさん】⑧
水上は少々驚くがほぼ表情を変えずに冷たい視線を向けている。
「あんな野球バカが松田智裕なわけないんだよ!マウンドを降りたら隙だらけの腑抜け顔の超ヘタレのいじられ体質の超ど平凡な松田を返してよ!」
「はぁ?そんなの俺知らねーし。言いがかりも甚だしいですよ、センパイ。」
「アンタでしょ⁉︎ツワブキちゃん追い詰めたのは!」
高梨の発言には根拠があった。
智裕があんな様子になってから1週間以上が経ってから、智裕が豹変した原因は恋人から別れを切り出されたことをクラス中が知った。
しかし豹変した智裕はクラスから孤立しかかっており、幼馴染たちでさえ気軽に会話が出来ない雰囲気になっていた。
そこから大竹の情報網と、パリピでヤリチンの若月の人脈をフル活用して、今高梨の目の前にいる水上に辿り着いた。
「……ははははは!」
水上は腹を抱えて笑いだした。その態度に高梨の腹の虫は益々激情する。
「だってさ、好きな人取られてたら奪いたいよね。」
「なんで否定しないのよ……。」
「否定したって時間の無駄だし。それに俺は社会的には正しい行動を取ったと思うけど。」
歯をギリギリ震わせる高梨を嘲笑い、水上は話を続ける。
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