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アカマツくんの目標設定③
そして次々と呼ばれるベンチ入りの部員、その後は3年と2年ばかりで結果的に1年は直倫だけだった。
「予選まで1ヶ月だ。明日から2週間は厳しく練習をする。今回ベンチ入りしなかった者も同様だ。残りの2週間は調整だ。今日は休養日にするので、充分に身体を休めろ。」
はい!
「主将 、清田、今中はこの後会議室でミーティングする、すぐに来るように。」
「はい。」
「はい!」
「はい、わかりました。」
「以上だ。解散。」
ありがとうございました!
解放された部員たちがわらわらと体育館を出て行く中、直倫はまだ信じられずにゼッケンを見つめながら呆然と立ち尽くしていた。
「赤松。」
そんな直倫は後ろから肩を叩かれたので振り返ると、主将で3年の堀 がいた。
「堀先輩…俺……。」
「何かあったら必ず俺に言えよ。」
「はい。」
「もう知ってるだろうが去年の二の舞はごめんだ。お前たちには秋も春も大会に出て欲しいからな。」
「……はい。」
「明日から頑張ろうぜ、な。」
爽やかに笑うと、堀も体育館から出て行った。直倫はゼッケンを握りしめた。
「あんま気負うなよ、赤松。」
「……松田先輩。」
(最近、松田先輩全然笑わなくなったな……先輩、何かあったのかな?)
「俺、絶対エラーしません。松田先輩が完全試合出来るように死ぬ気でやります。」
「それが気負ってんだよ。じゃあな。」
(今日も笑わなかったな……。)
直倫は智裕に対するモヤモヤで緊張を瞬間忘れた。
智裕の右手に目線を落とすと「1」のゼッケンが握り締められていた。それが直倫に恐怖感を与えた。
智裕の背負うものが見えたような気がしたからだった。
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