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アカマツくんの目標設定⑤
裕也はテキトーに自転車を停めた。直倫はゆっくりと呼吸を整える。
「そうだ、今日カッちゃんが言ってたわ。ミーティングだって。」
「カッちゃん?」
「2年の野村 だよ。野球部 のマネージャーだろ?」
「あぁ、はい。」
裕也のクラスメイトで幼馴染の野村克樹 は、中学まで野球をやっており高校では帰宅部だったが、1週間前に野球部のマネージャーとして入部した。
ある日、清田の代わりに智裕の投球練習に付き合っているところを森に見られ直々にスカウトされた。
3年の坂口以外のマネージャーが4月の再始動前にやめてしまい、また残った坂口も選手への適切なケアの方法をまるで知らなかったので、大会に向けて野村の知識も見込まれた。さらに元キャッチャーということでブルペンキャッチャーも兼任している。
「野村先輩が入ってから身体のケアの仕方などを教わってとても助かりました。」
「カッちゃん、リトルリーグ時代からそういうの勉強してたからな。ピッチャー助ける為にな。それにカッちゃんのお母さんが看護師さんだし。」
「へー……。」
「……え?何キレてんの?」
声色が少し違ったことに違和感を覚え、裕也は直倫を見ると、直倫は少しだけ不機嫌だった。
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