216 / 1000

アカマツくんの目標設定⑥

「キレてないですよ。」 「長州か!」 「何ですかそれ?」 「………なんでもねーよ!」  直倫に伝わらずスベってしまった。 「昔から仲良しなんですね、って思っただけです。」 「………え、嫉妬?」 「はい。」 「やめろキモいぞ。」  裕也は直倫から目を逸らした。逆に直倫が裕也を見つめる。 「なんだよ。」  視線が刺さったと感じた裕也はふて腐れたように喋る。 「裕也先輩、俺今日、6番もらいました。」 「………はぁ⁉︎6番ってスタメンかよ!てゆーか1年でベンチ入り⁉︎」 「1年では俺だけです。」 「え、お前そんなすげーの⁉︎」 「いえ……自分ではそう思いません。」 「いやいやいや……あのヤクザみてぇな実力主義監督に選ばれてんだぞ!去年の腑抜けた部ならまだしも……すげーな赤松。」  裕也は野球経験者で且つ智裕を間近に見ていたこともあり、直倫がどれほど凄いことを背負ったのか理解していた。  だからそれに対して、驚き、感心して、キラキラした羨望の眼差しで直倫を見つめた。  コロコロと表情が変わる裕也が愛らしく思えた直倫は、不意打ちでそのまま唇に「チュッ」とキスをした。

ともだちにシェアしよう!