217 / 1000
アカマツくんの目標設定⑦
今度はコンマ2秒で裕也に叩かれた。
「てめぇ何してんだあぁぁぁぁぁ!」
「いや、裕也先輩が可愛かったので、つい。」
「つい、じゃねーよ!2度目だぞバカヤロー!」
ガルルル、と警戒する犬のように睨みつけるが、それも直倫には通じない。なぜなら、その顔は真っ赤になっていたからだった。
そんな直倫の気持ちも知らずに裕也は手の甲で必死に唇を擦る。
「裕也先輩は、何しても可愛いですから観念して下さい。」
「観念出来るかあぁぁぁ!何なんだよお前は……。」
「裕也先輩のことが好きで仕方ない後輩です。」
「答えなくていいよ!」
裕也は直倫が掴もうとする手を逆に掴んで抵抗するが、その手を触って気付いた。
「おい、お前…指先のマメ。」
「え……ああ、年がら年中マメだらけですよ。」
「ちょっと潰れかけてんぞ。これじゃ送球のコントロール狂っちまうだろ。野村に言っとくから明日練習前にテーピングしてもらえよ。」
直倫は不思議に思った。裕也は帰宅部で中学もバスケ部だったと聞いたのに、どうして手の異変に気付いたのかと。
ともだちにシェアしよう!