220 / 1000

アカマツくんの目標設定⑩

 裕也は益々顔の温度が上がった。 「ななななななんで…ぼ、勃起して。」 「あんなに可愛い顔をしながら手を触られたからですよ。」 「何でだよ!意味わかんね……ちょ、手離せって、ん!」  強制的にとはいえ、他人のモノに触れているという羞恥で半泣き状態の裕也は反論の余地もなくまた直倫に唇を塞がれた。  口内を容赦なく蹂躙され、だんだんと思考が痺れてきた裕也は膝も震えてきた。その間にも、触れさせられている直倫のソレは大きくなる。 「はぁ…はぁ……あか、ま……つ……て、てめ…。」  とうとう腰が抜けてしまい、その場にへたり込んでしまった。直倫も、裕也もお互い熱い呼吸を繰り返す。 (ちょっと待てよ…え、俺が童貞だからなのか?こいつめっちゃキス上手すぎ……じゃなくて、なんだよこれ、動けねぇ…。) 「裕也先輩……ごめん、もうやめるから……。」 (赤松のヤロー、マジでシメねーと気が済まねぇよ。) 「怖がらないで……先輩。」 (何で今度は優しくすんだよ、わけわかんねーよ、赤松。あー文句言いてぇのに声が出ねぇ…。)  直倫は目線を裕也に合わせるようにしゃがんで、今度は優しく包み込むように抱き締める。  ふわりと裕也の鼻腔をくすぐるシトラスの香り。それは裕也が夏場に使う制汗剤と同じ匂い。 (赤松の心臓が、脈が、アホみたいにわかる……こいつ、マジで俺のことそういう目で見てんのかよ……。) 「その顔…やめろ……バカ……。」  山ほど考えた反論の中で、その言葉がやっと出た。キスしたことや勃起したことは突っ込む気力もなくしていた。 「はい…すいません、先輩……。」

ともだちにシェアしよう!