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雨嵐の日②

 1限目は授業のない裕紀は提出された課題のチェックをしつつ、隣の席のもう1人の社会科担当教師と軽く授業内容を擦り合わせる。  30分もしない内に、窓がガタガタと揺れる。 「今日午後から台風並みの嵐らしいですね。」  窓の外を見ながら1人の教師が呟いた。教頭はパソコンで気象情報などを朝からずっと気にしていた。すると電話が鳴るので教頭が応対する。 「えー、先生方、ちょっとよろしいですか?」  通話を終えた瞬間、教頭はわざとらしく咳払いをしながら立ち上がり残っている教職員の注目を集めた。 「本日これから夜にかけて大型台風レベルの嵐になりますので、生徒の安全面を考慮し午前中の授業が終わり次第下校させるように、と教育委員会より指示がありました。」  そう言われて裕紀はスマホを取り出して、ニュースのアプリを開いて気象情報を確認した。雨より強風での被害が懸念される、と載っていた。  1限目が終わるチャイムが鳴り終わると、教頭が校内放送を入れて午前中の学校閉鎖を伝え、それを聞き終えて裕紀は授業をする教室へ向かった。

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