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雨嵐の日④
午後12時過ぎ、4限目が終わり本来なら昼休みの時間だが今日は帰りのホームルームになった。
「つーわけで、自宅学習だからな。お前らが行きそうな店とか屯 ろしそうな場所には通報されるシステムになってるから観念しろよ。あと、ロードワークも禁止だぞ松田。」
「…うス。」
(あの返事はやるつもりだったな、あのバカ。つーかいつまであの仏頂面を決め込みやがるんだよヘタレのくせに。)
「じゃ、とっと帰れよ。日直。」
「きりーつ。」
日直の号令で5組は解散した。思いもよらぬ自由を得た生徒たちは喜びながら早々と教室を出て行く。
裕紀も出席簿を持って教室を出た。
(俺も仕事片付けてとっとと帰り支度でもするかな。)
呑気にそう考えて歩いていたら、廊下で白衣を着た石蕗拓海に遭遇した。
「石蕗先生。」
「あ、星野先生…お疲れ様です。」
後ろから声をかけるといつも通り、拓海は美しい笑顔を裕紀に向けた。
裕紀は拓海の顔を少々伺うが何も変わった様子は見られなかったので、胸をなでおろした。
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