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雨嵐の日⑦

「担任命令だ。俺も帰んだからお前も帰る。」 「……はい。」  気が進まなそうな態度の一起に、裕紀は違和感を覚える。  重い腰を上げてスクールバッグを手にする一起を見て、裕紀は思わず腕を掴んだ。 「なんかあったのか?」 「いえ……別に。」 「帰りたくねーな、って顔に出てる。」 「………そんなこと、ないですけど。」 「……本当か?」 「さっきから何言ってんですか?もう帰りますよ俺…。」  さっきから一起は裕紀と全く目を合わせない。  裕紀はそんな一起に対して、少しばかりイラついた。 「……飯、一緒に食べるか?」 「はい?」 「昼飯、俺も外で食べるし。」 「いや、寄り道したら通報システムですよね。」 「俺んチの近くなら四高(ウチ)なんてわかんねーよ。」 「………どうせ、担任命令ですよね。」 「まぁな。」  諦めたように一起は教室の照明を落とすと裕紀について行った。 「そういや、弟って小学生だと今日は休校だろ?どうしてんだ?」 「母が家にいます。会社にも休むようにって促されたみたいなんで。」 「へー、いい会社だな。じゃあお昼はお母さんが作るのか。」 「でしょうね。焼きそばにするって言ってました。」 「あーわかる。俺がガキの時も昼はソーメンか焼きそばだった。あと焼き飯な。」  他愛の無い話をしながら校舎をあとにした。  その間も一起は極力、裕紀の方を見ることが無かった。

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