234 / 1000
雨と涙と汗②
「こんなとこで何してるの?」
「あー、にーちゃんの練習の手伝いです。ポテチもらっちゃったし。」
「練習?」
「なんか来週までは身体をいじめ抜いて体力作るとかなんとかで、下半身にフカかけ?トレーニングしてるとか?よくわかんねーけど、ここんとこ帰ってきてから毎晩すげーランニングしてんすよ。」
拓海に精一杯説明したら智之はまたポテチを一口食べた。
「んで、今日は外でられないから内階段の1階から10階までを走って、俺は往復カウントとタイム計ってんです……あ、もうあと30秒だ。残り30ー!」
ストップウォッチを確認して内階段の下に向かって智之は兄に伝えようと声を出した。
茉莉は智之の横に置かれていたタオルを掴んで振り回す。
「まーちゃん、それにーちゃんの汗染みててばっちいよ。」
「うーおぉ!」
「うわ、臭っ!まーちゃんやめて!」
智之が茉莉とタオルの攻防を繰り広げていると、タッタッタ、という駆け足の音が徐々に近づいて響く。
そして数秒、足音の主が現れた。
ともだちにシェアしよう!