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雨と涙と汗④

「智之?」 「んーんーんー!」 「いや、ストップウォッチをセットしろよ。」 「んー…!ぷはぁ!お、おぅ。」  息どめの栓を解放して、智裕に言われた通りに制限時間をセットする。目線は泳ぎながらも、智之は練習の手伝いを続ける。 「はい!よーいどん!」  智之の合図で智裕はまた下へ駆けていった。あっという間に3人の前から智之の姿は見えなくなった。  拓海がため息と共に落ち込むような表情をすると、茉莉は拓海の膝に抱きつく。 「ぱーぱ?」 「あ……そうだね、おうちに帰ろうね。」 「たあいあー!」 「うん。智之くん、またね。」 「あ…えと、はい。さよならー…。」  茉莉の手を引いて拓海はその場を離れた。

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