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雨と涙と汗⑤

 家の玄関を開けて中に入る。  荷物を下ろして、少しだけ濡れた茉莉を着替えさせて、拓海も部屋着に着替えて、手を洗って、冷蔵庫の中を確認する。  茉莉はソファによじ登って、散らかしていた音の出る絵本で遊び始めた。子供向けの歌が部屋に響き、茉莉は手拍子をする。  バタン、と冷蔵庫を閉めた拓海は下を向いた。そして涙が頬を伝った。 「………と、も……ひろ…く………。」  茉莉は絵本を持ちながら拓海に駆け寄る。 「ぱーぱー。」 「まー…ちゃん……。」 「ない、ない!」  茉莉は小さな手で拓海の頬を叩く。ペチペチ。少し怒っているようにも見える。 「泣いちゃ…だめだね……ごめんね。」 「ないない!」  ピシャーン、と外から雷鳴が聞こえた。 「まーちゃん、今日はまーちゃんの好きな栗のご飯、頼もうね。」 「うー!」

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