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翻弄されるエガワくん①

 裕紀(ヒロキ)はごくごく普通の3階建てのアパートに住んでいた。  アパートの目の前にある駐車場から部屋に着くまでに、裕紀と一起(カズキ)は全身ビショ濡れになるくらいに雨は酷かった。  ドアを閉めて、鍵をかけて、薄暗い部屋に靴を脱いで上がると、どちらからともなく視線が交わると熱情を察知して何度も啄ばむような口づけをする。リップ音を立てて、何度も何度も口付けて、裕紀は一起のワイシャツのボタンを外す。 「先生…慣れて、る?」 「35歳バツイチだからな。」 「俺……どうすれば、いいですか?」 「何もしなくていい……とりあえず、ベッド行くぞ。」  一起の心境など構わないという強制力のある誘い。  優しく手を引かれて十数歩でダブルベッドの上に腰をかけていた。 (間取りは1DK…かな……先生デカいくせにこんな狭いとこで寛げてんのか?) 「真面目の江川くん、そのタンクトップ脱げ。ジジイ臭ぇぞ。」  裕紀が指摘すると、一起はまた顔が赤くなる。  脱ぐのに手間取っていたら、目の前で裕紀がポロシャツを脱ぎ捨てて、逞しく美しい身体を露わにしていた。

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